秋山のオリジナル曲です。2012/4/14のライヴの前日に急に思い立って書きました。それまでのBallads向けの曲はマイナーキーの曲が少なく、またフリースペースがなかったので、思い切ってそれらを前面に出そうと考えました。譜面上、基本となるのは9小節。あとは出たとこ勝負です。ライヴで演奏すると演奏時間がつい長くなります。演奏している方は自由にやっているので結構楽しんでいるんですが、お客さんはフリーアプローチにとまどい、退散されてしまったこともあります。
決めごとが少ない分、神経がすり減るので、レコーディングの合間、昼食を摂り、気分を一新した所で、「今やろう!」と1回切りと決めて望みました。曲の冒頭からフリーアプローチで展開していきます。レコーディングしているのは古民家の土間を改築したギャラリー兼カフェ、弦をこすったり叩いたりしている中で、ときおりカシャカシャと聞こえるのは実は、昼食の後、食器を洗っている音です。そういえばどの曲のときだったか、演奏中に宅配便のお兄さんが入ってきたり、外で遊んでいた近所の子供が賑やかに帰ってきたり、カフェにお客さんが入ってきて(公開録音だったので、時々お客さんが入って来る)、「ちょっときいてよ~」と愚痴りだしたり、通り雨が「サー」と音の膜をはったり…と、いろんなその時その時の富雪の空気感がこの「Travesía」には詰まっています。そして、このSpiralには他の曲にはない、その場だけの緊張感、張りつめたものを感じていただければと思います。(秋山)